手紙やお礼状や案内状といったおたよりを出す季節によってそれぞれ挨拶の言葉が異なります。これらのおたよりに使われるのが「季語の挨拶」です。
社会人になると使用頻度事が増えた方もいらっしゃるかと思いますが、良く悩まれている事が「その季節に合った季語が分からない」という点です。2月の季語について、挨拶の例文と一緒に紹介します。美しい花をはじめとする季語で手紙を彩るとビジネスで好印象です。
2月の季語とは?
そもそも季語とは、俳句で「春夏秋冬」の季節を表す為に使われる言葉です。それぞれお手紙を出す季節によって、季語の挨拶は異なります。その季節に合った挨拶をする事がポイントになります。
上旬や中旬や下旬の挨拶
その月の上旬や中旬や下旬で挨拶文を使い分けている方もいらっしゃいます。それぞれの使い分けは強制ではなく、それほど気にする必要はありません。
「立春」は、2月4日前後を表す季語です。
4月中旬~下旬に「立春を迎える今日この頃」と使うと季節に合わない季語になってしまいます。
2月中に出すお手紙に「立春」の季語を入れるのであれば、以下のように「立春は過ぎているけど」という言葉を使えば、違和感のない挨拶になります。
「立春を迎えましたが【過ぎたとはいえ】、まだまだ寒い日が続きます。」
上旬や中旬や下旬それぞれの挨拶に使える季語
1月20日頃から2月3日頃までの季語:大寒【ダイカン】
2月4日頃から2月18日頃までの季語:立春【リッシュン】
2月19日頃から3月6日頃までの季語:雨水【ウスイ】
2月の別名【異称】
それぞれの月には別名が必ずついていて、2月の旧暦は「如月【キサラギ】」と呼ばれています。その他にも以下のような美しい別名があります。これらの別名の使い方は、手紙の冒頭で「美景の侯」や「梅月の侯」etc「〇〇の侯」として使用するのが一般的な使い方です。
- 子草生月【オクサオイツキ】
- 華朝【カチョウ】
- 酣春【カンシュン】
- 春分【シュンブン】
- 木更着【キサラギ】
- 二月【キサラギ】
- 絹更月【キサラギ】
- 如【キサラギ】
- 來鍾【キッショウ】
- 橘如【キッジョ】
- 恵風【ケイフウ】
- 降入【コウニュウ】
- 木目月【コノメツキ】
- 仲春【チュウシュン】
- 仲序【チュウジョ】
- 仲鐘【チュウショウ】
- 仲陽【チュウヨウ】
- 初花月【ハツハナツキ】
- 美景【ビケイ】
- 梅月【ムメツキ】
- 梅つさ月【ムメツサツキ】
- 梅つ月【ムメツツキ】
- 梅見月【ムメミツギ】
- 雪消月【ユキキエツキ】
- 陽中【ヨウチュウ】
- 令月【レイゲツ】
- 麗月【レイゲツ】
- 令節【レイセツ】
ビジネスシーンで知的だという印象を与えられるので知っておけば損はありません。
2月の代表的な季語
2月でよく使われる季語、代表的な季語は以下のとおりです。
- 睦月
- 春寒
- 余寒
- 立春
- 早春
- 初春
- 旧正月
- 雪解
- 残雪
- 凍解
- 氷解
- 薄氷
- 猫柳
- 雛菊
- 春菊
- 蕗の薹
- 水菜
- ほうれん草
- 公魚
- 梅
- 紅梅
- 鶯
- バレンタイン
手紙を美しいおたよりに仕上げられるので使いこなしてみて下さい。
2月の代表的な花
2月の季語で使用されている代表的な花は以下のとおりです。
- フクジュソウ
- ウメ
- ロウバイ
- ツバキ
- ジンチョウゲ
- スノードロップ
- マンサク
- クリスマスローズ
- デンドロビウム
- プリムラ
花の名前を用いる事によって、手紙を美しいおたよりに仕上げられるのでビジネスシーンでも導入してみると良いです。
2月の時候の挨拶に使われる用語とは?
上記でも記載したとおり、2月の季語には「〇〇の侯」とつけるのが一般的です。ビジネスシーンでも最もよく使われる挨拶ですが、実はもう一つよく使われている挨拶があります。
それが「〇〇のみぎり」という言葉です。では、「〇〇の侯」「〇〇のみぎり」には一体どのような違いがあるのか?
○○のみぎりや○○の候の違いとは?
- みぎり…折【ころ】を表す。
- 侯…季節を表す。
上記のように、「みぎり」と「侯」の意味は全く同じ意味なのですが、使い分けの違いがあります。基本的に、お手紙には「侯」が使われている事が多いです。
「みぎり」という言葉は、女性がよく使っていた言葉です。特にビジネスシーンで使うなら、使い分けを頭に入れておく事をおすすめします。
「みぎり」「侯」は必須ではない
お手紙には、冒頭に「〇〇の侯」etc時候の挨拶を入れる事をおすすめしていますが、あらたまる必要のない相手には、必ずしも使用しなければいけない事はありません。そして、〇〇の侯や〇〇のみぎりとするのであれば、これに続く言葉も適した表現にしなければ、違和感のある印象を与えてしまいます。
特にビジネスシーンでは慎重に使って下さい。
2月にある行事について
2月にはいくつかの行事があります。2月にある恒例行事を挨拶に入れると、より季節を感じられる風情漂う美しい挨拶に出来ます。
2月にある恒例行事
さっぽろ雪まつり【北海道や札幌】…2月5日頃から1週間ほど
旭川冬まつり【北海道や旭川】…2月7日頃
小樽雪あかりの路【北海道や小樽】…2月上旬から中旬
刈和野の大綱引き【秋田】…2月10日頃
六郷のカマクラ【秋田】…2月11日から15日頃
横手のかまくら【秋田】…2月15日や16日頃
ぼんてん【秋田】…2月16日や17日頃
梅花祭【京都や北野天満宮】…2月25日頃
水戸の梅まつり【茨木や偕楽園】…2月下旬から3月末頃
2月の季語を使った手紙の例文
2月の季語を使用している手紙の例文を、出だしと結びで紹介します。
出だしの挨拶
向春の候、貴社ますますご発展の事とお慶び申し上げます。
余寒なお厳しい昨今ですが、いかがお過ごしでしょうか。
余寒お見舞い申し上げます。
向春とはいえ、一段と寒さが感じられます。
そろそろ梅の蕾もふくらみ始める頃となりました。
すいせんが花をつけ始め、春めいてまいりました。
雪解けを迎え、寒さも一息ついております。
立春が過ぎ、旭川冬まつりが始まりますね。
街はバレンタインデー一色で華やぐ季節となりましたが
結びの挨拶
まだまだ寒さが厳しいですが、くれぐれもご自愛下さい。
余寒厳しき折柄、お体を大切になさって下さい。
残寒の日々ですが、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。
しばらく寒さが続きますが、どうかご壮健でお過ごし下さい。
暖冬とはいえ、油断は禁物です。どうかお体にお気をつけて健やかにお過ごし下さい。雪解けも間近です。くれぐれもお体を大切に。
手紙やおたよりを2月の季節の挨拶や季語で美しいテイストに!
季節の挨拶は難しそうというイメージを持っている方も多いのですが、あまり難しく考える必要はありません。その季節にあった季語を選ぶだけでも、とても美しい風情ある手紙やおたよりに出来ます。2月の季語を参考に、ビジネスシーンでも好印象を与えられる手紙やおたよりを書き上げて下さい。