安全祈願祭について、詳しく知っているという方はそれほど多くはないでしょう。安全祈願祭は、建設会社が建物を安全に建築出来る事を祈る儀式です。建設業界でない方は知らない方も多いかと思います。安全祈願祭には、儀式が始まる前に施工側社長もしくは代理人が挨拶を行います。挨拶を任された方の中にはどのような内容を話せばいいのか分からない方もいらっしゃるでしょう。安全祈願際について、どのような流れで進行する式なのか?安全祈願祭の挨拶はどのような内容で話せばいいのか?などについてご紹介します。
安全祈願祭とは?
安全祈願祭とは、施工業者が主催となり工事中の事故・災害が無いよう、無事終了するようにその土地の神様をお祀りする為に開かれる式です。
似ている式典「起工式」「地鎮祭」との違いについて
安全祈願祭に似ている行事が他にもあります。安全祈願祭・起工式・地鎮祭、それぞれの違いについてご紹介します。3つとも同じ内容・同じ趣旨ですが、違いは祀る祭神です。3つの式典を深く考えるのであれば、個人で考えるのには少し難しい事もあります。主催者側などと入念に打ち合わせをして、施主の意向によって呼び方を決定する事が一般的です。安全祈願祭を行ってから、起工式を行われる事もあります。
地鎮祭とは
地鎮祭とは「個人住宅や一般企業の建築工事着手の時に行われる式典」です。
地鎮祭では
- 大地主神(おおとこぬしのかみ)大地の守護神
- 産土大神(うぶすなのおおかみ)土地の氏神様
を祭神します。
起工式とは
起工式は「工事着手の際に行われる式典」です。公共の工事では地鎮祭ではなく、起工式と呼ばれる事が一般的です。
起工式では
- 手置帆負命(たおきほおいのみ事)工匠の守護神
- 彦狭知命(ひこさしりのみ事)工匠の守護神
- 産土大神(うぶすなのおおかみ)土地の氏神様
を祭神します。
安全祈願祭とは
安全祈願祭は工事の安全を祈願する式典です。施工者が中心となって行われます。
安全祈願では、
- 産土大神(うぶすなのおおかみ)
を祭神します。
安全祈願祭の流れについて
安全祈願祭の流れは以下の通りです。
- 開会
- 修祓の儀(しゅばつのぎ)
- 神降の儀(こうしんのぎ)
- 献餞の儀(けんせんのぎ)
- 祝詞奏上(のりとそうじょう)
- 清祓の儀(きよはらいのぎ)
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
- 撤饌の儀(てっせんのぎ)
- 昇神の儀(しょうしんのぎ)
- 閉式
- 神酒拝戴(しんしゅはいたい)
なお、会場に入る前には必ず手を洗い、心身を清める「手水」を行わなければいけません。
安全祈願祭の理想的な日程について
安全祈願祭には、「大安」に設定する事が理想的な日程と言われています。しかし、大安の日はそう何日もあるわけではなく、予定が合わない事もしばしば。
そこで、大安以外でも縁起のいい建築吉日となる日にちが以下の通りです。
六曜 | 時間 |
---|---|
先勝(せんしょう) | 吉:午前 凶:午後 |
友引(ともびき) | 吉:朝/夕 凶:お昼 |
先負(せんぷ) | 吉:午前 凶:午後 |
仏滅(ぶつめつ) | 1日凶 |
大安(たいあん) | 一日吉 |
赤口(しゃっこう) | 吉:午前11時~午後1時 凶:正午(上記時間)以外 |
大安にスケジュールを合わすのが難しい場合は、上記の時間帯に注意して日程を決めましょう。出来れば仏滅以外で赤口も避ける事をおすすめします。
安全祈願祭の挨拶の例文について
安全祈願祭の挨拶の例文をポイントや注意点も交えて、流れに沿ってご紹介します。
自己紹介
まずは、自己紹介から始めましょう。
- 只今ご紹介に預かりました、○○株式会社○○(役職名)○○でございます。
感謝の気持ち
お忙しい中、安全祈願祭に参加して頂いた皆さまへ感謝の言葉、今日この日を迎えられた事は皆様のご協力があってこそという気持ちを伝えましょう。
本日は、お忙しい中当社○○の安全祈願祭にご臨席をたまわり、誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
本日はお天気にも恵まれ、○○の○○工事の安全祈願祭を迎えられた事は、これもひとえに○○をはじめ当社と関わって頂いております、多くの企業の皆さま、近隣の皆さまからの多大なるご支援・ご協力を賜り実現出来たものだと思っております。
心より感謝申し上げます。
建設予定の概要
建設予定の建物の概要・建設のスケジュールの流れ・重要事項を簡潔にまとめて皆さまへお伝えしましょう。
- 当社○○は~建物の詳細~完成予定は、〇年〇月を予定しております。
再度、感謝の気持ちで〆
最後に、これからも変わらずご指導・ご鞭撻のお願いをし、もう一度感謝の気持ちを伝えるような言葉で締めましょう。施工関係者の安全を祈り、無事完成する事を祈った言葉を伝えましょう。
施工にあたられる○○工業様・○○建設様・○○建設様には、安全第一で持てる技術を存分に発揮して頂き素晴らしい当社○○を完成される事を祈念しております。
最後になりましたが、まだまだ未熟ではございますが、社員一同精いっぱい努力して参りたいと思っております。これからも皆さまには何かとお世話になる事もあるかと思いますが、変わらずのご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。○○が完成し、社員一同あらたな気持ちでスタートを切りたいと思います。
皆さまに少しでも恩返しが出来るよう、日々精進してまいります。本当にありがとうございました。
安全祈願祭の挨拶における注意点
挨拶における注意点を簡単に確認しておきましょう。
スピーチは長くなりすぎないよう注意!
あまり長いスピーチをすると、途中で飽きられてしまいます。その後の式典の時間も考慮し、大体2分前後を目安にスムーズな流れを意識したスピーチにしましょう。
自慢話はNG!
決して、安全祈願祭での挨拶で自慢話になるような事は話さないよう注意が必要です。感謝の気持ちを忘れずに新しい会社の建設や新しい建物が建てられる日が来たのも、皆さまのご協力のおかげでもある事を忘れないよう、感謝の気持ちを皆さまへ伝えるようにしましょう。
安全祈願祭で安全な建設作業に繋げよう!
安全祈願祭など、式典は少し難しい事もあります。大切な場でもありますので、施工業者の方であれば事前に安全祈願祭の流れや基本的な事をしっかりと理解しておく必要があります。挨拶文には心からの感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。そして、安全祈願祭を関係者の団結心をより一層強めて建設作業を確実かつ安全に着実に進めていくきっかけにしましょう。