登山時に提出先に提出すべきなのが登山計画書・登山届と言います。提出が必要な山や決まったフォーマットがある場合もあります。「登山計画書」と聞いた事はあるけれど、よく分からないし書いた事も無い。そもそも「登山計画書」自体の存在を知らないという方もいらっしゃるでしょう。山に入る際に「登山計画書」の提出がルールとされている事はご存じでしょうか?
初めて山登りをする方は特に知らない人も多いようです。登山計画書は万が一の事故にも大変役に立つ書類なので、自身の身を守る為にも山登りをする前に必ず作成して提出しておく事が必要です。登山計画書の必要性・作り方・書き方・提出先など提出が必要な山も増えてます。etcをご紹介しますので登山活動にお役立て下さい。
フォーマットが提出先に無い場合は無料テンプレート
当サイトでは無料の登山計画書のテンプレートもご用意しております。提出が必要な山などに基本的なフォーマットが無い場合に作成し利用する事が出来ます。提出先が無い場合でも家族や友人に基本的な計画を渡す事で、なんらかの問題が発生した場合でも対処しやすくなります。
無料のテンプレートはこちらからダウンロード出来ます。登山計画書が提出先にフォーマットが無い場合に使える無料のテンプレート「エクセル・ワード・PDF」必要な方はダウンロードしご利用頂けます。編集やシートで別けれるエクセル・直接記入が出来るワード・印刷し手書きで記入出来るPDFがセットでご利用頂けます。
登山計画書とは?
山登りをするにあたって申請が必要となり、いつ、だれと、どのルート・食糧・緊急連絡先・格好(装備)でどの山に入りますという事を記載し申請する為に作成されるのが【登山計画書】です。登山計画書の提出先は山登りをする時の管轄警察署です。登山申請書を提出・申請をする事でメリットが沢山あります。また、登山計画書は登山届や入山届とも言います。
登山計画書の必要性とメリットについて
登山家の中では登山計画書の提出は「山に登る最低限のマナー」と言われています。では、なぜ登山計画書は必要になるのでしょうか?登山計画書を提出した方が良いのは分かっているものの、「作成が面倒」「低山なので必要無いのでは」といった考えで登山計画書を提出しない人も残念ながらまだ多くいます。登山計画書を提出する事は作成の手間と時間を補ってあまりあるメリットがあるのです。
無計画登山は危険!万が一の事故を防ぐ!
無計画な山登りは大変危険です。山登りというワクワクした趣味である一方、ちっぽけな人間が、脅威ともなる自然の中に立ち入る行為でもあります。街中のように救急車がすぐに来ない環境であり、一歩間違えば命の危機に瀕します。天候の急変・体調不良etcで予定よりも早く下山をしたり、急遽登山ルートを変えなければいけないという事態は山登りでは全く珍しく無いです。
無計画登山は根拠の無い自信、「私は大丈夫」という気持ちから生じます。天候の急変etcに備えて、登山計画書の作成時に避難ルートetcをしっかりと計画しておくと、いざという時でも冷静に対応出来ます。また、登山計画書を作成した際は、事前に見直す事も大切です。見直す事によってルートの理解度を深める事はもちろん、装備の不備・食料の不足etcにも事前に気づけます。
登山計画書を作成する事が、事故を減らす事やいざ事故が生じた際にスムーズに対応出来る事に繋がります。万が一に備えた登山計画書を作成・提出しておけば、安心して本来の山登り自体の目的や楽しさを果たせます。
捜索活動をスムーズに!一刻も早く救出してもらう為に!
万が一、遭難してしまった時でも捜索隊による初動捜索が早く行えます。登山計画書にどのルートを通るのかetcを記載しておけば、捜索範囲が正確になり捜索活動がスムーズに行う事が出来ます。救出が遅くなってしまうと、救える命も救えなくなる確率が格段にUPします。
登山計画書は警察の他にも家族(知人)にも渡す事が勧められます。万が一の時、遭難に一番早く気づくのは家族です。遭難した事をいち早く警察に連絡してくれます。どの山へ行ったか、どのルートかetcが分かるかどうかは生死の分かれ目になります。スムーズに捜索活動をしてもらえる点は、登山計画書を提出する最大のメリットです。
実際に2泊3日で北アルプスの穂高岳に山登りに行って来ると家族には伝えたが3日経っても戻ってこなかった時、家族から警察へと連絡が行き捜索が行われます。とはいえ、登山計画書の提出が無ければ、どこから入山したのか・どのルートをたどったのかも分かりません。そもそも穂高岳は4峰あります。どの穂高岳かも分かりません。
警察や山岳救助隊の捜索も広範囲になり時間もかかってしまうので、遭難者の生命の危機に繋がります。助かったとしても、その後に支払う捜索費用が膨大となります。万が一のこのような状況を防ぐ為にも、登山計画書の作成・提出は不可欠なのです。
山岳保険に役立つ!
山岳保険は、簡単に言うと山登り中のケガや死亡した時に保険が下りるような仕組みになっています。登山計画書を提出していなかったからといって保険が下りない訳ではなりません。とはいえ、例えば【山登り中に事故にあってしまい死亡してしまった】という事例が生じた際、登山計画書の提出がなかった時は「自殺したのでは?」と疑われる余地があります。そして保険が下りないという事態に繋がる可能性が高まります。本人が安心して山登りを楽しむためにも、家族の為にも、山岳保険への加入と登山計画書の作成は行って下さい。
登山計画書は義務?任意?
近年、山登りをする人の遭難防止・遭難対策の為にも、登山計画書の提出が数多くの自治体から義務付けられています。登山条例も施行されています。違反した時は罰金が発生する自治体もあります。全国的に義務化されているわけでは無いですが、登山計画書にはメリットばかりので必ず山に入る際には提出をしておいて下さい。車を運転する時にシートベルトを必ず締めるのと同様、山登りをするときは登山計画書を提出して安全の確保をして下さい。
特に以下の山々にて登山計画書の義務化が進んでいます。
- 長野県
- 岐阜県…北アルプス、御嶽山、白山、乗鞍岳
- 富山県…剣岳周辺
- 山梨県…南アルプス、八ヶ岳、富士山八合目(12月~3月は義務)
- 群馬県…谷川岳
- 石川県…白山、活火山地域
上記に含まれていない山で山登りを楽しむ時も、繰り返しになりますが自身の命を守る為に登山計画書は提出して下さい。
登山計画書の提出先はどこ?
登山計画書の提出先は、山登りをする予定の山を所轄している【警察本部の地域課】や【警察署】です。
以下の方法で提出が可能です。
- メール
- 郵送
- FAX
提出方法は管轄により変わりますので、提出方法のチェックは必ず事前に済ませておいて下さい。所轄がどこなのか分からない方は【公益社団法人 日本山岳協会】で提出先を検索して下さい。
登山ポストがある時
登山する場所によっては、登山口に「登山ポスト」が設置してある場所があります。その時は山登り前に投函する事が出来ます。とはいえ、山登りをする場所によってはポストが無い場所もありますので、警察へ届を出す方法をおすすめします。登山計画書の提出はオンラインで提出まで出来る時もあります。
登山計画書を提出する前に…
登山計画書を提出する前に注意しておきたいポイントをご紹介いたします。登山計画書が出来たら何枚かコピーをとっておいて下さい。その中の1通は本人用です。
家族にコピーを渡しておこう!
提出する前に、登山計画書の記入した物のコピーを家族に渡しておいて下さい。警察は無事に下山したという事をチェックする事は無いので、もし遭難してしまった時に家族etcの通報により捜索が始められます。捜索は家族や知人から警察へ連絡があって初めて捜索が行われます。捜索願いがあった時、山岳救助隊の方が登山計画書でルートをチェックしながら捜索が開始されますので家族・知人には必ず登山計画書を渡しておく必要がある事を強く認識しておいて下さい。ご自身の命が繋がるかどうかの分かれ道です。
下山報告はしなくても大丈夫!
上記の捜索の開始の記載の通り、捜索は家族や知人から警察への連絡によって初めて開始されます。その為、基本的に警察には下山報告はしなくて良いとされています。家族や知人etc山に登っている事を伝えている人には心配をかけますので、下山した際には一報入れる事をおすすめします。
携帯etcの連絡手段となる物は必ず持っていこう!
万が一何かがあっても連絡が取れるように、携帯電話を忘れずに持っていって下さい。近年では山でも電波が入る場所が増えていますので、「どうせ繋がらない」と置いていくのは避けて下さい。
登山計画書の書き方・作り方
登山計画書の書き方・作り方は、書類作成の中でも簡単です。必要な項目etcがあるのでチェックしておいて下さい。
登山計画書の必須項目
登山計画書に記載すべき項目をご紹介します。記載が漏れていた時、有事の際の救出に遅れが生じてしまうリスクが高まるのでしっかり把握しておいて下さい。
表題
表題は分かりやすく「登山計画書」「登山計画書届」etcとして下さい。
本人基本情報
基本的な個人情報を記載して下さい。
- 氏名
- 年齢
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 電話番号(携帯)
- 緊急の連絡先
- 保険加入有無
- 山登り当日の服装(色・模様etc詳しく)
- 登山団体に所属している時は記載
数人で登山
一緒に登山する人がいる時は、全員分の基本情報も記載して下さい。
山登りの日程・コース
- 山登りの経路
- 所要時間
- 入山予定日時
- 経由地
- 下山予定地
- 計画変更の下山ルート
登山計画書では山登りの経路や経過時間etcも山登り日程に記入します。目的の山の山登りの経路を計画し、その山域の地図を使って入山予定地・下山予定地を定めて下さい。頂上etc経由する地点を具体的に定めていきます。その際に山登りの経路上の水場・鎖場・分岐点etcを事前にチェックしておいて下さい。経路が決まったら所要時間をチェックしますが、その際に登山地図等で地点間における所要時間が分かる他、オンライン上でもコース全体の所要時間が簡単な操作で算出してくれるツールもあります。所要時間がチェック出来たら、入山時刻と下山予定時刻を定めます。
日程を定める際には天気に要注意!
週間天気予報etcをチェックしながら日程を定めて下さい。その日しか空いてないからといって荒天が予想される日に定めてしまったり、自身の体調に不安がある時は山登りすべきでは無いです。ご自身だけではなく関わる方全ての方に迷惑をかけてしまいかねません。また季節によっては初級向けと思っていたルートも、中級者向けのルートになる山域etcもありますので書籍やインターネット等で情報収集は怠らないようにして下さい。
携行品・食料
何をどれだけ持参するかも記入して下さい。事故が起こった際に何日分の食糧が合って生き延びれるかという情報になります。
- 通信機器の有無
- 燃料の有無
- コンロetcの調理器具の有無
- テントやツェルトetcの有無
- ヘッドランプ
- ロープの有無
- 何日分の食料を持参するのか
作成後・提出前にもう一度チェックを!
完成したら必ず再度チェックをして下さい。計画に無理は無いか、自身やメンバーの体力や経験etcも考慮し無理の無い計画にする事を心がけて下さい。食料や装備に不足が無いかetcも改めてチェックして下さい。
登山計画書の用紙フォーマットについて
登山計画書をご自身で作成する時、基本的にA4用紙で作成する事をおすすめします。ご自身でフォーマットを作成するのは難しいという方は、ネットで簡単にフォーマットを無料ダウンロードする事が出来るので検索して下さい。万が一の際に誰が見ても情報が把握出来るように記入出来ていればフォーマットを印刷して手書きで書き込む書き方でも、フォーマットをダウンロードしてPC入力する作り方でも問題無いです。
登山前に情報収集は必ず行って下さい!
「楽しかった」山登りにする為には、事前に山の情報を収集しておく必要があります。避難ルートetcを調べるだけではなく、電波状況や最新のルート情報、山登り当日の天気予報etc必要な情報はすべてあらかじめチェックしておく事をおすすめします。
体力作りも大切!
山を登るには、想像以上に体力が必要となります。途中で動けなくなってしまったetc体力に限界が来てしまわないように、普段から十分な体作りをして下さい。自身の体力がどのくらいあるのかを知り、ルートを考える事も大切です。
登山計画書を作って安心して山登りを楽しもう!
登山計画書の提出の重要性を理解頂けたかと思いますが、最後にもう一度記載させて頂きます。どんなに低い山でも登山計画書の提出は必要と認識して下さい。万が一、遭難した際に登山計画書の情報があれば捜索がより容易になりますし、救助のスピードが全く違うものになります。万が一の時に備えて必ず準備をして下さい。