顛末書とは、あまり聞き慣れない資料の名前ですが、仕事にてミスしてしまった時に提出すべき資料の一つです。顛末書の作り方次第では、今後の評価が変化する事もあり得ます。評価がこれ以上下がってしまわない為にも、正しい顛末書の作り方を心がけて提出すべきです。顛末書について、「顛末書」の読み方や始末書との違いや作り方のポイントや注意点を詳しく解説します。
顛末書について
顛末書について、そもそもどのような資料なのか?どのような目的があるのか?etcについて解説します。
顛末書の読み方
顛末書は「てんまつしょ」と読みます。
「顛末」とはどんな意味?
そもそも顛末という言葉自体はどういう意味があるのか見て行きます。
「顛末」とは「事の最初から最後までの事情」となっており、一部始終と解釈出来るとも言えます。
- 「顛」…「頂き」を意味しており物事の先端やてっぺんという意味
- 「末」…ある事柄の続いているものの先端の方という意味
「顛」が物事の最初の方を指しており、「末」はそれが続いているものの一番最後の事を指します。
よって物事の最初から最後までを表すという意味を持つのが「顛末」という言葉です。「事の顛末を説明して下さい」と言われたら大ざっぱにまとめた話しを求めているのではなく、事の始まりから、今に至るまでの過程、あらましを事実関係も基に事細かく説明してほしいという意味として捉えます。
顛末書とは
冒頭でも記載したように、仕事でミスをした際に提出する資料の中の一つがこの顛末書です。職場etcで「顛末書を書いて提出するよう指示された」や「今回の顛末について話して下さい」etcと言われる事があります。
顛末書とは出来事に対するいきさつを最初から最後まで詳細に説明する書面になり、主に起こった事の事実を記載するのに重きをおいた書面となります。
記載するコンテンツは、主に以下の通りです。
- なぜ事故やミスが起こったのか(詳細に!)
- どのような対応をとるのか
- 今後同じミスや事故が起こらないようにするには、どう対策をすればいいのか
顛末書や始末書の違い
顛末書よりも、始末書の方が聞き覚えのある方が多いかもしれません。始末書も、事故やミスを起こしてしまった際に作成する資料なのですが、顛末書とは違いがあります。
- 顛末書何が起こったのか、今後起こさない為にはどのような対策が必要なのかを主に記載する為に作成します。主に社内に向けて作成する資料です。
- 始末書顛末書と記載コンテンツは同じなのですが、始末書は「事故を起こしてしまい、申し訳ありません。」と謝罪するようなコンテンツをメインとします。社内に提出する他、取引先etc、社外へ提出するケースもあります。
顛末書は「報告」の意味合いが強い
主に何があったのか、今後どうするのかの起こった事の事実を報告する為に作成する資料で、起こった事の一部始終を事細かに経緯を説明するとともに今後同じ事を起こさないような防止対策も含めます。
謝罪がメインではなく、報告する事がメインである為、以下のようなコンテンツを詳細に記載します。
- どうような経緯
- どういう背景
- どのような事が起こってしまったのか
何かに事実を隠したり、嘘を記載してはなりません。会社は顛末書により、何故このような事が起こったかを把握し、関係者への説明と共有を図ります。会社側としてもこれからの同じ事故が起きないように対処法や改善策を考える元となるのです。
顛末書は「謝罪」の意味合いが強い
始末書は、何があったのか、今後どうするのかも大切ですが、反省文のようなコンテンツで反省と謝罪に対して重きを置き作成する資料です。始末書を記入する本人に非を認めさせ反省させる事が目的となります。それにより今回起こしてしまった事故やミスに対してのけじめをつけさせると共に、同じミスを起こさせない為に再発防止する為の目的として使用されます。
顛末を名詞として使う例
上記で「顛末」という言葉の意味や顛末書と始末書との違いetcが分かりました。さらに顛末という言葉を深く理解する為に、普段のビジネスシーンや日常生活の中での使われ方を知って下さい。顛末書について理解しやすくなるきっかけにもなります。例文を紹介します。
「事の顛末を皆さんに話します」
友達同士で山登りに行った際に遭難してしまった。救助隊も出動して頂き2日後には無事けがもなく救出をされた。心配されていた家族や関係者に、事が落ち着き収拾した後に、どうしてこの事故が起こってしまったか?その背景etc事実関係を包み隠さず全て話し情報を共有する時に使用します。
「今回の顛末を打ち明けます」
会社の1つの業務の中でミスを起こしてしまった後、今回の事は大した事でもないので上司に言う必要もないだろうと判断し、そのまま業務を続けていき、その中で簡単に挽回出来るはずだと思っていた。しかし自分の判断とは別に問題がどんどん大きくなりどうしようもなくなり上司に報告した。その際に最初から最後までを嘘偽りなく、時系列の報告を求められます。このようなケースの際に使用される事もあります。
「ずっと顛末を見ていた」
マンションのベランダで外の道路を見ながらぼーっとしている時に「あっ危ない」と思った瞬間に交通事故が発生した。自分は加害者でも被害者でもありませんが、たまたま事の始まりから事故発生までを終始目撃してました。その事を誰かに話す際に用いられる可能性のある言葉になります。
「全然分かりません。もっと詳細に顛末を説明して下さい」
色々な環境下があり得ますが、業務中etcに事故を起こしてしまった。社内に戻り、上司に報告するも的を得ず言い訳がましく報告してしまった際に、上司から「それでは原因が何かが全然わかりません。もっと詳しく顛末を報告して下さい」と言われた。もう一度感情や主観を抜き、最初からどうして起こったかの経緯や背景、事故が起こってしまった時までの話と共にその後の対応はどうしたのかを報告した。
顛末という言葉は色々な場面で使える!
このようにビジネス以外の普段の生活の中でも「顛末」という言葉自体を使うケースがあります。「顛末」という言葉を、より一層理解を深められたはずです。その上で「顛末書」に対する理解が深まるかと思います。
顛末書の作り方ポイント
顛末書をわかりやすく作成する為に、いくつかポイントがあるので、それぞれ解説します。
作り方ポイント①:5W1Hを意識して作成する
5W1Hを記載して下さい。
5W1Hとは、英語で「When」「Where」「Who」「What」「Why」「How」です。
日本語にすると、以下の通りです。
- いつ
- どこで
- 誰が
- 何を
- なぜ
- どのように
更に詳しく記述するために、以下のコンテンツも記載して下さい。
- どのような対応をしたのか
- 今後再発防止をする為には、どのような対策を取るのか
- 担当者の意見
顛末書のコンテンツを評価するにあたって、経緯が細かく分かりやすく記載されているかが見られます。記載コンテンツに対して感情や主観は出来るだけ排除した文面を心がけ、あくまでも客観的に経緯や経過を分析し状況に応じた優先順位をつけながら文章を組み立てていく作り方が求められます。
顛末書は事の始まりから最後まで一部始終を詳細に書く事が要求される書面ですので、あくまでも読む側が事の経緯や事態etc何でこうなったかを正確にわかるように時系列にそってまとまる事も大切です。5W1Hを意識して作成すれば、読者が知りたい事を明確に分かりやすく伝える事が出来ます。
作り方ポイント②:結論は先に書く
結論をはじめに書いておくと、読者は状況を理解しやすくなります。まずは、結論を簡潔に記載した後、5W1Hのコンテンツをしっかりと記載していくと、わかりやすい顛末書が出来上がります。
顛末書の作り方における注意点
仕事等でミスや事故を発生させてしまった際に作成を求められる資料ですが、反省や謝罪の意味が強い始末書ではない為、事実を事の始まりから終わりまでを詳細に淡々と報告すべき資料です。
作り方において、してはいけない事や作成にあたっての注意点をそれぞれ解説します。
注意点①:私的な感情や主観は入れない
提出先の方達は、あなたの感情や主観を知りたいわけではありません。どうしても作成者は言い訳(感情)や「今回の事は誰でも起こしかねない」(主観)etcと書きたくなるかもしれませんが、それは読む側が判断する事であり、読む側は事の経緯と事実を知りたいのです。
よってあくまでも客観的な事の一部始終を詳細に記載し、今回のミスや事故に関して分析して、状況に合わせた対策を立てる事が大切です。時系列にしてまとめると、読者は事態を把握しやすくなります。その際に、感情や主観は入れないようにして下さい。
注意点②:作成後の見返しは必ず行う
作成後に以下の点について、主にチェックして下さい。
- 読みやすい文章になっているか
- 誤字脱字はないか
- 記載漏れはないか
- 提出先の情報(会社名や氏名、部署名etc)に間違いがないか
見返しチェックをせずに提出して、のちにミスが沢山見つかると信頼を無くしてしまう事もあります。作成後のチェックは必ず行って下さい。
注意点③:指摘されそうな場所は、あらかじめ洗い出しておく
疑問となる点が多いとヒアリングの回数が増えてしまい、問題の把握や対処に時間がかかってしまいます。文章の中で、「これはどういう事?」と指摘されてしまいそうなコンテンツがある時、文中に補足etcであらかじめ記載しておいて下さい。
注意点④:嘘はNG!
事態を少しでも軽く見てもらおうと、嘘のコンテンツを書く事は絶対にしないようにして下さい。人間ミスは誰でも起こしてしまいます。大切なのは、その後の対応です。誠意を持って伝える事が大切です。
顛末書に必要な事項
決められたフォーマットはありません。しかし、最低限必要な事項があるので、それぞれ解説します。
作成日
作成した年月日を記載して下さい。
宛先の情報
提出先の企業名や氏名etcの記載をして下さい。社内に提出する時は、氏名と部署のみの記載となります。
作成者情報
作成した方の企業名、氏名、部署名を記載して下さい。社内へ提出する時は、氏名と部署名のみの記載となります。
表題
表題は「顛末書」としておくとわかりやすいです。
本文
【発生日時】【どこで(発生場所)】【どのような】があり、【どうなったのか】をしてしまいました。今回のミスや事故について、下記にて詳細と今後の対策を記載いたします。etcの文章から始めて下さい。
発生原因
いつ、どこで、どのようにして、何が起きたのか、を詳しく簡潔に記載して下さい。
問題の程度
ミスや事故で起こった問題はどの程度なのかを、詳しく記載して下さい。例えば、「一部のお客様へ商品についての誤報が送信されてしまった」etcです。
損害
問題解決に向けて出費があった時は何に、どのくらいの金額が必要だったのかを記載して下さい。
現状の対応
現状で、対応しているコンテンツがあれば、記載して下さい。
今後の対策
今後、どのような対策をして再発防止に勤めるのかを詳しく記載して下さい。また、対策をする上で何か導入するものがある時は、それに関しての資料も添付しておいて下さい。
顛末書の提出タイミング
事故が発生してから収束するまでのコンテンツを記載すべきなので、事故が落ち着いたらすぐに提出して下さい。
また、事故が起こってからの経過については、顛末書とは別で、定期的に上司へ報告して下さい。
顛末書は手書きでもOK
会社で決められているテンプレートがある時、そのテンプレートへ手書きで記入する事が可能です。記載方法について会社で決められている時は、それに従うようにして下さい。
テンプレートをインターネットにて無料でダウンロードも出来ます。会社で決められているテンプレートが無く、ご自身で作成すべき時は、無料でダウンロードする事が出来るテンプレートサイトを利用する事をおすすめします。テンプレートの作成する手間も省けて、必要や不必要な事項は簡単に追加や消去する事も可能です。
顛末書は5W1Hや客観性を意識して迅速に提出!最終チェックも忘れずに!
作成する際に必ず覚えておいて頂きたい点は以下の3点です。
- 5W1Hを意識して作成する
- 作成後のチェックは最低でも1回は行う
- 収束後、速やかに提出する
今後同じような事故が起こらないように、誰が読んでも伝わるようなコンテンツで作成するよう、心がけて下さい!
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