在職証明書は企業によって呼び方が違い「雇用証明書」や「在籍証明書」etcと呼び方は様々ですが、どれも在籍・在職をしている・していた事を証明するための資料です。大学etcでは「在学証明書」や「在籍証明書」と呼ぶ事もあり、同義として使われる事がございます。当記事では企業が発行する在職証明書について説明します。書き方、企業への依頼方法、使用する理由etcを詳しく解説します。
在職証明書とはどのような文書?
在籍・在職している事を証明する為に発行される資料です。また、在職証明書を使って過去に在籍していた事を証明する事も可能です。
呼び方は企業によって様々ですが、どれも内容は同じ資料となります。
- 就業証明書
- 就労証明書
- 勤務証明書
- 雇用証明書
- 在籍証明書
主に在職していた企業の人事担当より発行されます。用紙又は在職証明書に対して書き込むべき項目は提出先から指定されたものを書き込むのが通例です。
提出が必要な理由と使用目的は?
使用されるシーンは様々ですが、主に以下の理由・目的がございます。
- 保育園に子供を預ける時に働いている証明をする為に提出
- 転職の時に転職先に提出
- 公務員への転職
- 実務経験が必須な職に就く
- 外国人の在留資格の申請時に提出
- 外国人労働者がビザを申請・更新する時
- 住宅ローンを組む時に金融機関へ提出
新卒で企業に入社する人、転職した人、日本に住み始める海外の人、新居を購入した人etc、主に新生活が始まる人にとって必要な文書とも言えます。新生活の時は様々な手続きが必要でめんどくさい事もございます。しかし、このような文書は依頼してすぐもらえるとも限らないので事前に情報を自分でチェックしておくアクションが欠かせません。新生活を気持ち良くスタートする為にも、前持って早め早めの対応を心がけて下さい。
保育園に預ける時に働いているという証明をするために提出する
働きながら育児を行っている親が、未就学児を保育所・保育園に預ける時、申請の時に提出する手続きが欠かせない資料が在職証明書です。保育の必要性を審査する手続きの中で証明する材料のひとつとなります。既に未就学児が通園をしていたとしても毎年の提出が必要な資料です。自治体毎に違いがある1か月の最低勤務時間を超えているかも重要なポイントです。
自治体・地域によっては保育園に入園する為の待機児童が大人数居るという現実がございます。少しでも入園出来る確率を上げる為にも在職証明書の発行依頼をして手続きを段取り良く進めて下さい。特に共働き夫婦であれば受け入れ先となる保育園がひとつもないという状況は非常に深刻な問題となるでしょう。出来る限りの手続きを進めて安心して育児・仕事が出来る環境作りに努めて下さい。
ただし、無認可保育園は保護者が施設と直接契約を取り交わします。園によっては必要な資料や選考過程も異なるので保育が必要である理由を問われない事もあり、園児の受け入れが出来る空きが存在する時、在職証明書の提出なしで入園の許可が下りるケースも存在します。その為、無認可保育園については自治体毎に見解が異なる為、直接相談をして下さい。
転職の時に転職先に求められたケースで提出する
主に職務内容や経験・役職etcを書き込んだ履歴書との内容の照合etcの為に求められることがございます。新卒でも、アルバイト経験etcを知るという目的・理由で提出を求められることもございます。アルバイト・パート・正社員etcの雇用形態に関係なく在職証明書を発行する事は可能です。大学や高校を卒業して新卒入社をした経験はあるけれど、転職経験がないという方には初めてお目にかかる文書です。
公務員への転職
公募による公務員の中途採用時に受験資格として「一般企業に○年以上在職していた」といった条件付きでの募集をする事がございます。こうした条件を満たせいてるかの確認に加え、応募者の技量・資格etcを選考の材料として利用する為に提出が求められます。
外国人の在留資格の申請
外国人の労働者が日本での在留資格を申請する時に必要です。在留資格とは外国人が日本に居住する時に必要な資格で、日本に住む目的・理由を行政に対して申請して獲得する事が可能な資格です。この在留資格を得るために在職証明書によって勤務先が確定していて日本に滞在する必要がある事を証明します。
その他
外国人労働者がビザを申請・更新する時にも提出するケースもございます。
住宅ローンを組む時に金融機関へ提出する必要もございます。住宅ローンは長期にわたり高額のお金が動く手続きでもあるので、就労の証明が必要である事は想像に難くないです。
公務員への応募でなくても就職先で「〇年以上の実務経験が必要」etc、実務経験が必須な職に就くケースでも在職証明書が実務経験の証明書となります。
企業側に発行義務は無い
企業側は在職証明書の発行を義務付けられてはいません。在職証明書とは企業etcに籍を置いている事を証明する為の資料です。法律上、定めが特段ない証明書なので発行を依頼されて断る事も可能なのです。
作成する事で企業に何か不利益な事がある訳でもないので、依頼されたら作成するのがスタンダードです。しかし、企業側は発行の依頼をされたら「在職証明書が必要な理由」「どこに提出するのか」を必ず確認しておいて下さい。依頼者が使用目的・理由を明確に言えない時は、一度上司と相談をして発行の判断をして下さい。法的に発行する義務がない資料なだけに、依頼者は必要な理由とどこに提出するのかを的確に伝える必要がございます。特に依頼先の企業が激務であったり、繁忙期に該当する時は後回しにされてしまう可能性もあるでしょう。必要な理由を明確に述べて、丁寧な依頼をする事で少しでも早く発行してもらえるように尽力して下さい。
在職証明書の注意点
【注意点①】作成には時間がかかる・依頼は早めに
企業は大企業から中小・零細企業と様々です。各企業毎に社長が人事も総務もやられてる企業も多くございます。そのような様々な状況の中、在職証明書を発行するにあたって多くの作業が発生します。企業の状況によっては、すぐもらえるとは限らないのです。
求められる在職証明書の記載事項の数によって対応は変わりますが、長く勤務されてた方や過去に働いていた企業に在職証明書を求める時etc、企業側は本人の入社日から調べなくてはなりません。実際履歴書から雇用契約書・社員名簿等を過去から現在までの分を正確に管理が追い付いていない企業も多々ございます。
その上、提出を求める企業側に法的義務が無い書面であることから在職証明書は、必要な情報が多く情報を探す段階から時間がかかってしまう事を考慮し、申請者は在職証明書が必要になった時は可能な限り余裕をもって早めに企業へ伝えなければいけません。企業の状況によってすぐもらえるとは限りません。
企業側は申請をされたら出来る限り速やかに業務に取り掛かって下さい。情報さえまとめればあとは書き込むだけなので、あらかじめ在職者の情報を探しやすいように、履歴書や従業員名簿etcをまとめて管理しておく事をおすすめします。
【注意点②】企業は管理を慎重に
在職証明書は個人情報です。個人情報が外部に漏れてしまわないように保管は慎重に行わなければいけません。在職証明書を手渡すまでは、紛失しないように管理して下さい。企業側は電話や郵送で依頼を受けた時、すぐに受け付けないようにして下さい。必ず、本人確認資料の写しの提出を依頼するetc慎重・安全な対応・受け渡しが要求されます。過去の従業員が退職後に作成依頼をしてくるケースも少なくないので、この点については把握しておいて下さい。
【注意点③】在職証明書を貰えない時は弁護士を代理人に立てる事も
在職証明書は義務付けられていないと説明しましたが、依頼されているのに断ってしまうとそれは法的に「不当」となる可能性もございます。何かの申請にどうしても必要なのに、貰えないという事態が起こった時、お金はかかりますが労使問題に強い弁護士へ相談する事も解決法の1つでもございます。
企業側はただ在職証明書という存在が分かっていないケースもあり得ますし、調べる事が面倒なだけというケースもあるでしょう。しかし、どうしても必要な時は弁護士に相談される事も頭に置いておいて下さい。
【注意点④】在職証明書・退職証明書の違い
労働基準法第22条1項に、企業側は退職後は退職者からの請求に応じて退職証明書の発行義務があるという内容が書き込まれており、企業側は拒否すると労働基準法違反になります。
退職証明書の項目・在職証明書項目は大体一緒なので、転職etcで必要な時に利用する時は在職証明書と書き換えて使う事も可能です。さらに退職証明書は休職期間・退職事由etc、請求者が書き込みを希望しない項目は書き込む事を禁じられていますので、提出先側で許されるならば企業発行の同等の書面になりますので一考に値するかもしれません。
ただし、退職証明書はあくまでも退職後に発行を請求する書面なので現職のケースでは発行されません。
【注意点⑤】在職証明書・退職証明書の違い
退職後etcに請求され発行する時、在職証明書に対して書き込むべき必要項目は、現在の情報ではなく在籍していた当時の情報になります。例えば、住所は在職していた時の居住情報になるケースもあり、在職証明書の作成依頼をされた時の住所と異なる可能性もゼロではありません。住所だけでなく、退職後に結婚etcが理由で姓が変わった時も注意が必要になります。
在職証明書の必要事項
在職証明書の必要事項は請求先が項目を指定する時がございます。しかし、全ての請求先が項目を指定するとは限りません。項目指定が無い時はどのような事項を書き込めばいいのかをご紹介します。
在職証明書の必要事項
必要最低限の項目について、ひとつずつご説明します。
在職者情報
在職者(退職者)の基本情報を書き込んで下さい。
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 住所
採用年月日
採用した年月日を書き込んで下さい。
雇用期間・雇用形態
契約期間がある時はその期間・雇用形態、契約更新の可能性がある時はその旨も書き込んで下さい。
仕事内容や地位
どのような内容の仕事をしているのか、地位(役職やパート・アルバイトetc)を書き込んで下さい。
就労形態
曜日固定があるなら出勤する曜日を、シフト制ならシフト制と書き込んで下さい。
勤務日数・就労時間
勤務日数と就労時間を書き込んで下さい。合計する期間は請求先または申請者に確認して下さい。
勤務地
勤務地の住所を書き込んで下さい。
給与支給総額
給与を支給した総額を書き込んで下さい。合計する期間は請求先または申請者に確認して下さい。
申請者の希望する事項
申請者または請求先が必要としている情報を項目に追加して下さい。
企業の印
企業が書き込んだという証拠として、企業の印を押印する事を忘れてはいけません。
在職証明書の発行・依頼の流れ
在職証明書を作成してもらうには、どのような流れで進めればいいのかをチェックします。
在職証明書の事項を確認しておく
請求先(提出先)へ、何の項目が必要なのかを企業に依頼する前に確認して下さい。指定のフォーマット用紙があるなら頂いておいて下さい。在職証明書には書き込むべき基本的な項目はあるものの、提出先によってはかなり異なる項目を求められるケースもございますので請求前に必ず提出先に書き込む事項をしっかり確認した上で請求して下さい。
在職証明書を請求する時、担当者による内容の確認が完了した上で作成するので大変時間がかかります。余裕を持って依頼する事が重要です。
企業側においては法的義務はないとはいえ、提出する事に特にリスクもありません。転職だけに使用される書面ではなく、大切な従業員の保育園や住宅ローンに使用するケースもあるので利用用途は幅広いです。企業としてその他の請求を求められる事にも備え、在職証明書は2週間程度を目安に発行出来るよう日頃より人事情報は正確に管理しておく事も大切です。
在職証明書の発行依頼部署は人事部・総務部
発行依頼は人事部または総務部へ行って下さい。忙しい中作成してもらう為、あらかじめ必要事項etcはメモetcに分かりやすく書き写して、担当の方へ渡しておくと業務もスムーズに進みます。
伝えておかなければいけない内容は、以下の通りです。
- 自分の基本情報(氏名・性別・生年月日・住所)
- 何の申請のために必要なのか(発行理由)
- 作成後の受渡方法(郵便なら郵送先の住所etcを伝える。直接手渡しして欲しいならその旨を伝える。)
- 期限(作成期限を書き込んでおいて下さい。)
- その他、必要資料の有無(あるなら何の資料が必要か伝える。)
請求先(提出先)へ提出
渡すまでにあまり時間を空けてしまうと、紛失する恐れもございます。在職証明書が完成したら速やかに請求先へ提出して下さい。紛失して再発行を依頼するというトラブルは避けて下さい。
在職証明書は早めの依頼・作成をして下さい!
在職証明書は人を雇っている企業では、必ずと言って良いほど労働者から作成を依頼されます。今から起業する方は特に在職証明書の存在・書き方を知っておく必要がございます。どのように作成すればいいのか分からないという方は、無料で利用が可能なフォーマットサイトがございますので、参考にするのも良いでしょう。足りない項目がもしあれば、ご自身で増やしたり減らしたりと編集も出来るのでおすすめです。依頼側は早めに依頼を行い、作成する企業側は個人情報を安全に管理しながら速やかに作成して下さい。