リストラはそう簡単に執行出来る手続きではないです。しかし、あまりにも無断欠勤が続く社員に対して退職勧告書の発行を行うケースは存在します。退職勧告書とはどんな書式の資料なのか、文例を交えて書き方を解説します。無断欠勤を理由に発行出来るのか、退職勧奨通知書との違いについても説明します。
勧告書とは?
相手にやるべき事を勧める為の警告資料です。勧告書の内容にはあくまで自主的に行うように促す内容が記載されています。従わないのであれば、何らかの対処があるケースがほとんどです。
勧告書の持つ効力
勧告書はあくまで指導の行為となり、法的効力は無いです。ですが、勧告書を無視する事によって何かしらの対処を下す事が出来ます。それに、悪質なシチュエーションであれば警察が対応するという事態も起こる可能性もあるほどの効果を持つ資料です。
退職勧告書と退職勧奨通知書の違いとは?
退職勧告書と退職勧奨通知書の大きな違いは「強制力の有無」です。
ある程度、強い強制力を持ちます。
通知内容を勧めるだけで強制力はほぼ無いです。
一方、退職勧告書なら明確な理由があれば、ある程度強制力のある発言をしても大きな問題になるリスクはかなり低いです。
退職勧告書の書き方ポイントは「明瞭や簡潔」
例えば退職勧告を行うのであれば、労働者の問題行動がいつから始まりいつまで続いているのか、日付を具体的に記載します。
内容に従わなかったら、どういった処分があるのかも具体的に述べます。
複雑な事柄は特に必要無いです。
事柄にもよりますが、基本的には下記の3つを伝えるように意識した書き方を心掛けて下さい。
- 根拠
- 期日
- 従わない場合の対処
退職勧告書の書き方における注意点
退職勧告書の書き方における注意点を紹介します。
誤解させるような内容は記載しない
退職勧告書は「解雇」よりも、今後のトラブルが生じるリスクが低いというポイントはメリットです。ですが、勧告書への記載内容によって「不当な勧告書」「退職強要」と訴えられて後々大きなトラブルに発展してしまうリスクはゼロではないです。勧告=拘束力は無いですが、ある程度の強制力は持っています。
相手に「何もしていないのに強制的に退職させられた」という勘違いをされてしまわないように、誤解を与えない書き方を心がけて内容を内容をしっかりと固めておいて下さい。
退職金の書き方は要注意!
懲戒解雇だと、退職金が出ない仕組みがあります。勧告書はあくまで「その行為をやめるように導く資料」です。つまり、退職金は原則出すべきです。また、退職勧告書を出すにあたって退職特別慰労金を出すのであれば、その旨を伝えるべきなので覚えておいて下さい。
退職勧告書によってトラブルが起こるシチュエーションも多く、労働者を中傷してしまう書き方になってしまうと、作成した人の責任が問われるデメリットもあるのです。勧告書の書き方については内容に十分すぎるぐらい慎重に気をつける姿勢が不可欠です。
何らかの法的根拠や規則の適用を要チェック
勧告書を出すのであれば、その事柄に関わる何らかの法的根拠や規則の適用が求められるのです。事柄にもよりますが、法的根拠や規則の違反によって勧告書が出されたという「根拠」はしっかりと説明出来るように準備しておいて下さい。
退職勧告書の書き方
退職勧告書の書き方を考えるにあたり、不可欠な項目は下記のとおりです。
- 作成日
- 対象者氏名
- 会社名や代表名
- 通知理由
- 勧告や措置の内容
- 期日
この中でも4~6は非常に肝心な項目なので、ミスの無いよう用心して下さい。
例文(無断欠勤)
令和◯年◯月◯日①
②〇〇 〇〇殿
③〇〇株式会社
代表取締役社長
〇〇〇〇 印
退職勧告書
④貴殿は、平成◯年◯月◯日から令和◯年◯月◯日までの◯日間、無断欠勤を続け、再三にわたる欠勤理由書の提出に応じなかった為就業規則第◯条項により、令和◯年◯月◯日をもち、自己都合により退職をしたとみなします。
したがって、速やかに退職届を提出するよう勧告いたします。
⑤⑥なお、令和◯年◯月◯日までに退職届が出されなかった場合、懲戒解雇の措置をとる事となります事をご了解下さい。
以上
お問い合わせ先
人事部 〇〇 〇〇
TEL:080-0000-0000
メールアドレス:…@….….…
退職勧告書は無効になるケースも
状況によっては勧告を無効や取り消しを行えます。つまり、内容が「違法」とみなされたら、会社にとって大きなダメージを追うリスクも考えられるのです。作成した退職勧告書が無効にならない為には以下の事柄はしっかりと守った書き方を心がけて下さい。
考える時間を与える
まずは、対象の従業員へ退職勧告書の作成前に「忠告」を行う事が大切です。例えば、無断欠勤を続けているのであれば「理由書の提示」や「理由の説明」を提案するというように、相手に考える時間を与えて下さい。
退職に追い込むような行動はしない
例えば、部署異動や出勤時間の変更および減少など、退職を促す為の処置と疑われる対処はしないようにして下さい。退職に追い込む為の行為とみなされたら「違法」と判断されて退職無効となってしまうので要注意です。
長期間や長時間の勧告は違法
退職勧告に応じない相手に対して何度も勧告を行うのは、違法ではないです。しかしですが、長期間もしくは長時間に渡る勧告は「退職強要」とみなされるリスクもゼロではないです。このリスクを避ける為に、勧告の話についての頻度や時間は最低限に控えるように心がけて下さい。
退職勧告書とは書き方や取り扱いに慎重さが求められるデリケート資料
退職勧告書の作成前に、しっかりと知識をつけていないと反対に会社が「違法」とみなされてしまいます。退職勧告書の取り下げだけでなく、会社の評判に関わる深刻な問題に発展してしまうリスクを孕んでしまうのです。取り扱いには気をつけて、まずは本人とよく話し合うようにして下さい。
出来るだけトラブルの無いように、勧告書についての知識はしっかりと身に付けておくと安心です。